SSブログ

「岐阜県美術館:ゴヤの四大連作版画展」 [展覧会のはなし]

10月10日(土)
友人と岐阜県美術館で開催されていた
「ゴヤの四大連作版画展」に出かけました。

以前に出かけた「不思議の国のアリス展」
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2009-07-24

その会場の出口付近に、この「ゴヤの四大連作版画展」の
チラシが置いてあったので、ふと手にした私。
どうも、「不思議の国のアリス展」で展示されていた
アリスの挿絵を担当した版画家の「ジョン・テニエル」と同様、
スペイン出身のゴヤが版画作品を制作していたことから
チラシが置いてあったもよう。

という訳で…
私と同じくアリス展に出かけた友人を誘ったところ
一緒にお出かけしてくれることになり、いざ出発。

ゴヤ展a.jpg
ゴヤ展b.jpg
今回の展覧会の告知チラシが様々な作品の部分、部分を切り抜いて
レイアウトされているため…
「精密だけど、ちょっと不思議な雰囲気」
という印象だったので
「これなら自分も好きそうな世界かも」と
うっかり会場内に入ったのですが…

確かに最初は「気まぐれ」というシリーズの版画作品が並び
家系図をうっとりと眺めるロバに
「家系しか誇ることができない貴族」の姿を風刺したり…

スペイン語で「地位を得る、分別を得る」という意味の椅子を
若い少女達の頭に乗せ、さらに腰にはくペチコートを
頭にかぶらせることで…本来の椅子の意味とは正反対の意味を
暗示させる作品など…

「ブラックユーモア的な、思わずフフフと笑える作品」
が大半だったのですが…

「戦争の惨禍」という作品の数々には…
ナポレオンによるスペイン侵略や内戦を経験したゴヤによる
その精密な表現故の残酷な戦場の場面に

「言葉を失い…」

戦後生まれの私には…

「あまりに衝撃が大きすぎ…」

かなりグロッキーに…

救いだったのは、ちょうど同時開催で
岐阜県美術館の所蔵作品を展示した
「秋の所蔵名品展」が開催されており

「マルク・シャガールのサーカスや、藤田嗣治の作品など、
 有名な画伯達の作品を間近で観ることができたこと」

もう、有名どころばかりで…

「中学生の美術の教科書?」と思うほとの充実ぶり。
いやはや、良いものを鑑賞できました。

最近、日本画にも興味がある私には…

「大橋翠石の迫力ある『虎図』を鑑賞することができたことが良かった」

もちろん毛並み1本、1本を精巧に描いている日本画も好きですが
(まあ、例えていうと伊藤若冲の作品の1つのような感じですかね…)
大橋翠石のような…ダイナミックな筆遣いながらも毛並みがところどころ
描き加えられていたりと筆運びの緩急が、非常にバランス良くて
私個人的には、大変印象に残りましたね。
いやはや…クオリティの高い所蔵作品展示でございました。

そして最後には…友人がコレを発見。
ゴヤ展.jpg
先に話した「椅子とペチコートをかぶった女性」がメインにおかれた版画作品
「もう椅子を持っているぞ(1799年)」の作品のパネル。
そう、女性の顔の部分だけが、くりぬかれているのです。

そういえば…以前に、「ぐりとぐら展」で県美術館を訪れた際には…

「私一人だったので…さすがに恥ずかしくて撮影できず(笑)」
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2008-02-28

しかし…友人がいると心強い(*´σー`)

という訳で…

「無邪気に顔を出して友人に撮影してもらう(爆笑)」

楽しいひとときになりました。
とはいえ、こうした機会でもないとなかなか
これほどの作品展数の版画作品もお目にかかれないですし…
社会風刺をした作品を通して、その時代の社会情勢を知ることもできましたし
こういう時代だからこそ、戦争の惨さを知るという上では
非常に良い展覧会だったと思います。
何より、モノクロの世界でこれだけの世界を版画で表現する
ゴヤという人物の鋭すぎる観察力と表現力には本当に驚くばかりでした。
芸術の秋にふさわしい、すばらしい展覧会でした。
nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:アート

nice! 0

コメント 2

美静

こんばんは。
この企画展、私も観にいきました。
ストーリーや伝えていることはよかったのですが、
作風がちょっとでした。。。

私も所蔵品は予想以上にすばらしい作品の数々でびっくり!
特にこの地方ではあまり見れないモローやルドンが
よかったですが、シャガールのサーカスも素敵でしたね。
by 美静 (2009-10-14 00:00) 

ユキヲ

>美静さんへ
コメントありがとうございます。
あぁ…私だけじゃなかったんですね(苦笑)
そう…「気まぐれ」のところまでは良かったのです。
「妄」も私好みの不思議な感じで良かったのです。

ただ…「戦争の惨禍」はやはり…寒気が…(爆)

所蔵品展…
シャガールのサーカス。
元々自分が青系統のカラーが好きだというのもありますが…
あのブルーのトーンの作品は余計に印象に残りましたね。
最初、入口で、チラシを手に取って観た時に
(注:あの水引の付いたようなデザインのです)
「だ、大丈夫かしら?」と思ったのですが(すごく失礼…笑)
そもそも、以前に2度訪れた際に鑑賞した所蔵作品も
かなり満足だったことを会場に入場してから思い出し(笑)
いやはや、ゴヤ以上に充実した展示でした。
by ユキヲ (2009-10-14 19:37) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。