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「8/25(日)秘島探検!鳥と進化のふしぎ〜世界自然遺産・小笠原諸島〜 NHK文化センター名古屋教室」 [今日のヒトリゴト]

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NHK文化センター名古屋教室。
8/25(日)秘島探検!鳥と進化のふしぎ〜世界自然遺産・小笠原諸島〜
噴火の活発な西之島などの鳥類をモデルに特殊な環境での
生物相の成立や進化など「島の生物学」の魅力を伝える
#バード川上 こと #川上和人 先生による単発の講座。
5月に中野で行われた講演と同じ内容だったようです。
覚えている範囲でのレポートですがご興味あればお付き合いください。

講座の開始時刻は午後1時。
「2分前に入室してくださいと言われたので…」と、スタスタと川上先生ご登場。
まだ開始時刻まで時間があるということで…最近あった出来事より話がスタート。
川上先生は、9/1(日)〜11(水)の西之島の調査のため、
現在水泳訓練などをされているそうで…
そんな中で先日、どういう訳か、右手人差し指を切ってしまったそう
(結果、3針を縫う自体に…)
その際に、圧迫して止血するも、全然血が止まらなかったため、
心臓より上に指をあげて止血することに。

負傷した指が右手の人差し指→天を指差すように右手を上げる
となると、左手は自然と腰の位置に…
結果としてサタデーナイトフィーバー状態となる川上先生。
他に参加される調査隊員からも
「川上さん、楽しそうですねー」と声をかけられ、
結果として水泳訓練が和んだのだとか。

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先生がその様子を再現するジョントラボルタ並みのポーズに
教室内の参加者より笑いが溢れ出す。
いやもぅ、冒頭から楽しいです。

さて、本日のテーマ、世界自然遺産・小笠原諸島。
最初に「小笠原諸島に行ったことがある人、手をあげてください」
という先生のお声に数名ほどの方が手を挙げる。
そして小笠原諸島と聞いて一般的な方々が思い浮かぶのがイルカだそうで…
「でも、イルカがいるのは小笠原諸島ではなく海なんですよ!」と力説する先生。
さて、そんな海鳥も生息する小笠原諸島についてまずは基本的な特徴から。

「小笠原諸島から本土に一番近い直線距離の本土の羽田から聟島列島まで、
だいたい約890kmぐらいなんですよ」
とまずは、小笠原諸島の基礎情報を交えつつ、
日本の本土のような大陸プレートにある島と、
小笠原諸島のような海洋プレートの上にある島の違いから、
そこから派生して、生物の移入の難易度の違いなどの説明に。

例:島の面積が大きかったり、移入前の場所から近いと生物の移入は多くなり、
逆に島の面積が小さかったり、移入前の場所から遠いと生物の移入は少なくなる。
さらに固有種、固有亜種の違いについても説明される。

そして小笠原諸島の鳥類相(ある特定の地域内に住む鳥類全種類のこと)
に注目することに。

起源は多様で移入と絶滅の繰り返しをしながら常に変化しており、
ここではバンという鳥について先生が一例をあげていました。

そして小笠原村の村章を出しつつ、メグロについて話が進みます。

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「これ、シラスじゃないですよー!メグロで小笠原の
「小」の漢字を象っているんですよー!」と先生。
はい、素敵なデザインです。

例えば「メグロの不自然な分布」について。
母島、向島、妹島とそれぞれメグロが生息しており、
中でも母島と向島はたった4kmほどしか離れていないのに、
ハプロタイプ(DNA)が違うという事実。
ここから移動性に低下が見られるということが分かるという先生。
島には捕食者や競争者が不在ということで死亡率が低下するのだそう。
すると、同じ種類の鳥同士での競争は激化するけれども
だからといって他の地域に移動することは、
生物にとって分散は死に近くなるので、定住する率が高くなるのだそう。
結果、それぞれの島のメグロの定住率が高いのではないかとのこと。

そして小笠原諸島の鳥の特徴として、本土と比べ、
地上で生息している捕食者がいないことから、
鳥達は地上を歩いて、餌をとったり、巣作りするなど、
地上で生息するようになったのだとか。
(なので、逆に言うと外から猫など地上性捕食者が介入すると
元々、島で生活していた鳥達にとっては危険だということです)

そんな中で先生は…
「海鳥って、地味で見分けがしづらいですよね?
でもメリットもあって…ほら、カラー印刷からモノクロ印刷になっても…
海鳥って分かりますよね?」
(と、スクリーンにカラーとモノクロの海鳥の写真を披露する)
これを見た教室内の方々からは笑いが生まれていました。

さて、いよいよ先生が以前に調査のために上陸した南硫黄島についての解説に。

先生達はアカテツが生い茂る部分を「アカテツパラダイス」と名付け、
通称「アカパラ」と呼んでいたそう。
この「アカパラ」、海鳥が多く生息しているんです。
というのも…崖下での巣作りは落石もあるから危険。
海鳥たちも分かっているんですね。

ちなみに鳥たちの生息エリアとして良い環境は、
森林>ブッシュ(人間の腰あがりまでの高さの植物)>崖
の順番だそうで、やはり崖は危険ということなんですね。

さて、先生達がテントを張っていた
海岸沿いのところは危険な箇所だったそうで
通称「死の廊下」と呼んでいたそう。
というのも、海からは高潮に見舞われ、
背後の崖からは落石に見舞われるということで
海岸線と崖からそれぞれ数メートル離れた場所
(そこがすでにテントを張るぐらいの面積しか残っていない)に
テントを張るしかなく、そこで眠っていましたが、
海辺の落石と思われる石を見る限り、相当尖っており、
現在も相当数の落石があると見受けられ、
テントで就寝の際もヘルメットをかぶって寝ていたそう。
そんな緊張感ある海岸沿いの部分はいつ落石があるか分からないため、
その海岸沿いを通り、アカパラまで向かって海鳥の生息調査などをしていたそう。

海鳥は島に栄養を運んでくれているという先生。
どういうことかと言いますと…

海鳥は海で魚などのえさを捕獲し食べます。
そして巣作りをした島へと戻って、糞尿は島の土地で済ませます。
となると窒素やリンなど海の栄養を含んだ糞尿を島の土地に置く訳ですから、
結果的には海の栄養を陸に揚げることになっているという訳です。

「自然のしくみというのは…上手くできているんだなぁ」

結果、南硫黄島は、無人の島ですから、この作用の効果が非常に早く進んでいるとか。
島の生態系の変化など、今後の南硫黄島の環境の移り変わりが楽しみですね。

他に余談として…
調査船で釣りをするスタッフの方もいて、
それなりに釣れるとのことなのですが…
時に、頭部しかない魚が釣れるとか…

「つまり…こういうことですね」

と、川上先生が告げながらスクリーンに映した画像がこれ。

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フロア内、大爆笑。
そうでした…川上先生、サメの映画大好きなんですよね?(笑)

そんな訳で…先生のお話は終了。

最後は参加された方より質問を受け付けて、先生が答えることに。

先生のトークや著書で披露されるテンポ良い語り口に感心された参加者から
普段読まれている本などを教えてくださいという質問に、
「ミステリー小説を読むのが好きで、
現在はスウェーデンの作家のミステリーを読んでいます」と川上先生。

そして、東京ロストワールド、ダーウィンが来た!を視聴した参加者から、
先生がキャンプをされていた場所に飛び込んできた鳥たちに
川上先生が足輪を付けていましたが、
これはどのように活用されているのですか?という質問には
「私が付けていた足輪には、番号が入っていて、
この番号をインターネットで検索すると、
いつ、どの場所で見つけた鳥かという情報が分かるんですね。
なので、足輪を付けた番号については後日、登録ページの方に、
南硫黄島で何年何月何日に捕獲した鳥に足輪をつけましたという情報を
入力するんですね。これをすると今度、私が足輪を付けた鳥を見つけた人が
検索すると『これは南硫黄島で最初に見つかった鳥なんだな』ということが
分かるんです。私が南硫黄島で足輪を付けている時にも、
10年前に別の島で足輪を付けられた鳥と遭遇して、
別の島から南硫黄島までが行動範囲になっていること、
そして以前、足輪を付けてから10年生きていることから、
鳥の寿命も分かったんですよね」

なるほど。そういう意味があったのですね。

専門的には「鳥類標識調査(バンディング)」というそうです。
およそ100年前にヨーロッパで始まった調査方法だそうですが、
現在も世界各地で盛んに行われているそう。
足輪の詳しい内容が公益財団法人 山階鳥類研究所のHPで紹介されていました。
http://www.yamashina.or.jp/hp/ashiwa/ashiwa_index.html#04

この足輪をつけての生態調査の説明に合わせて川上先生からは
別のタイプの生態調査についても解説がありました。
「現在では、人工衛星などを利用して、
動物本体に発信器などを付けて鳥の移動経路を調べたり、
あとカメラなどをカラダに付けて、
どういう場所を移動しているのかを詳しく調べる方法などもあります。
ただ、この場合は機材を回収するという作業も発生しますし、
小型化された機材は高価でもあるので、頻繁に実施するのは難しいです」とのこと。

たしか以前、国立極地研究所の渡辺佑基さんが
ペンギンの背中にカメラを取り付けて調査される様子を
情熱大陸で紹介されていましたね。
(この調査方法は、バイオロギングと呼ぶそう)
地道な調査から鳥の生態や島の環境の変化など
色々なことが分かるんだなととても勉強になりました。
何より、子ども科学電話相談のトーンそのままの
テンポ良い解説の川上先生のお話はとても楽しく、あっという間でした。

先生はその後、9月から西之島の調査団の隊員として出発され
調査をされていました。

9月のある日の日曜日。
毎週の習慣と化している子ども科学電話相談を聞いた後、
お昼の12時のNHKニュースをぼんやり見ていたら…
西之島に向かう調査隊が出発するというニュースが流れてきました。

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「これ、川上先生がメンバーの調査隊では?」と思って見てまして…
赤いシャツ着た方がいらっしゃると思ったら…


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安定の川上先生でした(笑)

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調査チームの出発の様子や、現地での調査の様子などは
ANNニュースでも放送されていたようですね。
西之島“手つかず”の生態系 調査へ出発
https://www.youtube.com/watch?v=UHT-pS-R9BY

西之島で生態系調査 上陸すると様々な発見
https://www.youtube.com/watch?v=J6B7jYQFDYQ

今度は西之島のお話も聞く機会ができるかな?
その日を楽しみにして、先生の著書を読んでいます。

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