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「11/23(月・祝)隈研吾氏を迎えて「まちづくりと建築の未来」・東海市」 [建築etcのはなし]

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#隈研吾 さんが東海市で、まちづくりについて講演されると
友人のMさんから教えてもらい、先日、一緒に講演会にお邪魔しました。
隈研吾さんと言えば…
ご存じ、 #新国立競技場 、 #歌舞伎座 、
こちら東海地方では #御園座 など、日本国内のみならず、
世界でも様々な建築を手がけていらっしゃる建築家です。

今回は「横須賀文化の香るまちづくり講演会」と題して、
東海市の「横須賀文化の香るまちづくり協議会」などが主催となり、
隈研吾さんをお招きし、隈さんには建築家というご自身の経歴も含めて、
まちづくりのお話を語っていただく講演となりました。

まず最初は世界から見たまちづくりから。
20世紀は経済優先となったことから、
歴史ある建造物などの多くが破壊されてきたとのこと。
その中で、イタリアは1950年代から歴史を守る流れに舵を取り、
まちづくりを進めたそうです。
中国を例に挙げると、北京と上海に各30名程のスタッフを抱えて
プロジェクトを行っている隈さん。
プロジェクトには、古い街を保存しながらの
新たなまちづくりの案件が増えているのだそう。
その理由のひとつとして、
街の保存を行政が厳しく指導を進めているそうで、
結果として歴史あるまちづくりの先進国とも言えると、
隈さんは語ってくださいました。

最近では、環境に着目した街づくりもあるそうで、
例えば、地球温暖化を防ぐまちづくりとして、
木を使う建築をひとつの例としてあげていらっしゃいました。
というのも…木は伐採され、建築資材となっても、
二酸化酸素を取り込む作用があるそうで、
日本ではこれにプラスする条件として、地震大国ということもあり、
耐震性の高い建築も重要なポイントだそうです。
そして人口減少にともない、街自体の再生も含めた
「居心地が良く歩きたくなるまちなかからはじまる都市の再生」を軸とした、
市町村や民間事業者などによる取り組みを国が支援するというプログラムも
国土交通省より発信されていることから、
今後「車社会から脱却し、人間が歩けるまちづくり」も
注目されているまちづくりのひとつだそうです。

さて、続いては隈研吾さんの代表的な建築とともに、
建築が周囲にもたらした変化も含め、
たくさんの事例とともに紹介されました。

まずは歌舞伎座から。
隈さんが手がけた、現在の姿は、
その前の歌舞伎座の姿を踏襲して改築された訳ですが…
その第4代の歌舞伎座を手がけたのは、吉田五十八(よしだいそや)。
歌舞伎座といえば…日本の城郭建築などにみられる
頭部に丸みをつけて造形した破風の一種である
「唐破風(からはふ)」の正面玄関が印象的ですが、
これには面白いエピソードも…
「旧歌舞伎座でこの唐破風が採用されたことから、
東京をはじめとする全国の銭湯の建物が
この入口のスタイルを取り入れたそうで…
結果として、唐破風の佇まいの銭湯が大人気になったそうです」
へぇー、知らなかった。

さて、隈さんが手がけた現在の歌舞伎座。
確かに以前の歌舞伎座の姿に似ていますが…
実は色々なところに工夫を凝らし、
以前よりもグレードアップしているのです。
そのひとつが「ひさし」の深さ。
実は旧歌舞伎座よりも、
現在の歌舞伎座はひさしが深く設計されているそうで、
このおかげで、ライトアップされた際に、
陰影の調子がより際立ち、美しい佇まいになるのだそう。
さらに、ライトアップのカラーも、春夏秋冬、変化をさせて、
季節に合わせた色合いで、歌舞伎座を照らしているそうです。

外観だけではなく、歌舞伎座には隠れた機能も。
というのは、東日本大震災の教訓から、
地下には3,000人分の食糧などの備蓄を備え、
万が一の際、多くの人が待機できるよう、
地下鉄と直結したフロアは広いスペースを設けて、
臨時避難スペースとして活用できる機能も兼ね備えているのです。

続いては…栃木の那珂川町馬頭広重美術館。
http://www.hiroshige.bato.tochigi.jp/about/architecture
里山の材料を使って建てられた贅沢な空間の写真に思わず息をのみました。
平屋建ての建物を貫通するように通る道は参道。
そう、その先には、神社があり、
地域に根ざした美術館という側面も感じられる、
まさに里山に溶け込んだ唯一無二の美術館です。

そして…今回、一番テンションが上がったのが…
太宰府天満宮の表参道に面した、
鳥居のそばに店舗を構える
#太宰府天満宮 表参道店 #スターバックスコーヒー。

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実は私、以前に福岡を訪れた際に、
九州国立博物館に出掛け、
その帰りに太宰府天満宮に立ち寄り、
こちらのスターバックスの店舗に立ち寄ったことがあるのです。

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とにかく印象的なのが…
「日本の伝統的な技法である木組み構造を使って仕上げられた内装」
一度見たら忘れられないですよね?
ちなみに、内装の木材の角には透明のカバーが付けられており、
安全面もしっかり考慮されています。

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さらに店内のテーブルは、内装の木組みと呼応するように、
木製の味わい深いテクスチャーに仕上げられています。
席に着くとその接近する木組みに驚きますが、
次第に木々に包まれているような雰囲気に落ち着き、
ドリンクを飲み終わった後も、
しばし、ゆったりとくつろぎたくなるから不思議です。
「木のチカラでしょうかね?」とても心地よい空間でした。

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(当時、撮影した写真をいくつかアップしてみました)

他にも、浅草文化観光センター
(以前、浅草で宿泊した際、目にしたことがある建物でした)
https://www.city.taito.lg.jp/bunka_kanko/kankoinfo/info/oyakudachi/kankocenter/a-tic-gaiyo.html

さらに、新潟県の長岡市役所を含む、文化施設が一体化された、
シティホールプラザアオーレ長岡は、圧巻の空間でした。
https://www.ao-re.jp/inspection/information/

長岡駅の西口からすぐの場所にあるこちらの施設。
なんと1階に設けられている議場はガラス張り。
他にも、全天候型の土間のある空間を目指して作られた
屋根付広場の「ナカドマ」は、
移動販売車などの出店も可能で、この施設が出来たおかげで
明らかに周囲の人の流れに変化が起きたそう。
街の人達もこうした施設があると誇らしいでしょうね。
ちなみに「アオーレ」は長岡弁で「会いましょう」を意味する
「会おうれ」をもじったものだそう。
地元に根ざした施設らしく、素敵なネーミングだと思いました。

そして今年はオリンピックが延期となりましたが、
東京の新国立競技場も紹介されました。
まず特徴的なところと言えば、
とにかく木材がふんだんに使われていることですね。
屋根、軒庇(のきびさし)、庭などに使われた木材は、
実に約2,000立方メートル!
特に注目すべきは軒庇(のきびさし)で、
こちらは47都道府県から森林認証を取得した木材を調達し、
さらにはスタジアムの方位に応じて配置しているそうですから、
全国各地から訪れた人達の心が躍りますし、
何より、世界の人達を迎える上でも、
オール日本で迎える心意気が伝わりそうな気もします。

さらに、観客席は森の木漏れ日をイメージし
て5つの色(白、黄緑、グレー、深緑、濃茶)が使われており、
そのリズムあるランダムな色合いは歓声にも見えてきますね。

さて、隈さんは講演会でお話される前に、
東海市の横須賀地区を、まちづくり協議会の方々と
一緒に歩いて巡られたそうで、
横須賀地区出身の名古屋出身の歌人・書家である
#阪正臣 (ばん まさおみ:1855~1931年)氏の邸宅や、
祭の際に山車も出る古くからの道、
さらには実際に祭で使われる山車などを実際にご覧になり
「20世紀の車社会ではない、歴史ある道の形が残っていること」が
とても印象的とお話され、それを踏まえて
「イギリスのチェルシーでも昔の中世の姿が残るのは
全体の10%ほどなんですよ」と
欧州での古いまちなみについても語られました。

最後にまちづくり協議会の関係者の方への
励ましのメッセージとして
「横須賀地区には、熱意を持って祭を動かす若い人達がいます。
そういう街には未来があります。
こうしたエネルギーを今後のまちづくりに活かしていただきたいですね」
と笑顔で語られていました。

世界で活躍される隈さんご自身から、
手がけた建築についての説明が伺える機会は限られているので、
今回は本当に貴重なお話を伺うことができとても嬉しかったです。
誘ってくれたMさんに感謝です!

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私も公演終了後、会場の前に展示されていた
装飾が見事で思わず見入ってしまう立派な山車や…

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山車の車輪の跡が見える道路など、周辺を歩いてみました。
歴史あるお祭りが今でも続く街は素敵ですね。
ぜひ、お祭りが開催される時には足を運んでみたいと思いました。
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