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「映画『おくりびと』を観る」 [映画のはなし]

9月14日(日)
ここの所、精神的にいろいろとエネルギーを使うことがあり
少しずつたまった夏の疲れや仕事の疲れもあいまってか、
身体のエネルギーは100%という訳でもなかったのだけど…

何か目的があると、気力が勝つ時もある。

「9月14日(日)映画料金1000円」

車で30分ほどの距離にある大型店舗内にあるシネコンは
14日は映画料金が1000円だそう。

「だったら、あれを観に行きたいんだけどなぁ」

それは…

「おくりびと」
http://www.okuribito.jp/

以前観た、「ザ・マジックアワー」
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2008-06-25
そして最近観た「二十世紀少年」
(これについては、また機会があれば書きたいと思います)
の上映前に流れていた予告を観て…
さらには「モントリオール映画祭」でグランプリを取ったと聞くと…

「ますます観たくなる訳で…」

通常価格の1800円でも観ようとも思ってみたり…
いや、木曜日のレディースデイにでも観ようと思ってみたりしたけど…

「やはり、観る気になっている時にお値打ちに観ることができるなら…
 出かけた方がいいよねぇ」

なんて思って、相方さんに声をかけたら、『いいよ』というのでお出掛け。

映画監督は滝田洋二郎
監督の名前だけではピンとこないものの
相方さんの大好きな「壬生義士伝」をはじめ
「陰陽師」など様々な映画を撮っている監督だ。
そうそう、私がこの人の撮ったものでインパクトを受けたといえば…

「木村家の人びと」

木村家の人びとは…
ひたすらお金を稼ぐことに日々熱心な不思議な家族の話。

あれを見たのはたしか、今はなき「ゴールデン洋画劇場」で
たぶん、私が小学生ぐらいの頃に観たと思う。
ゴールデン洋画劇場は度々、父と一緒に観ていたせいか
小学生なのに伊丹十三の「お葬式」や「タンポポ」
そして市川崑監督の「金田一シリーズ」などを観ていた私。
こういう映画好きになったのは父の影響だと今になって思いますが(苦笑)
とはいえ、「木村家の人びと」をはじめ、これらの映画は
子供は子供なりに興味が湧く部分もあり、食い入るように観てました。

さて、本題にもどりましょう(滝汗)

久しぶりにパンフレットなども買って、映画を観ることに。

私、曾祖父、母方の祖父・祖母、父方の伯父、
そして相方さんのおじい様と
この年では結構、近親者の旅立ちに立ち会っている方かと。

だからでしょうか?
もう場面、場面でいろいろなことが自分の体験と重なって
想い出したり、そして何とも言えない気持ちになり
涙が止まりませんでした。

あまり書いてしまうとネタバレになってしまうので書きませんが、

・山﨑努さんの言葉は少なくても、醸し出す「社長」が生きた「人生」
 そして、仕事に対する「真摯な姿勢」
 (今まで山﨑さんが演じてこられた様々な役柄も良いのですが…個人的に
 私が小学生の時に初めて観た「タンポポ」と同じぐらいの印象的な演技です)

・笹野高史さんが、あるスイッチを押す前に口にする
 ひとつ、ひとつ、深く、そして愛情ある言葉。
 (武士の一分でも感じましたが…本当にこの人の演技にはいつもしびれます)

・最愛の妻を亡くした夫を演じ切った山田辰夫さん
 生きている時には憎まれ口しかたたかなかった母を亡くした息子を
 演じ切った杉本哲太さん
 そして、社長と新人納棺師を影で支える女性を好演していた余貴美子さん

・亡くなった人々をあの世へと送る、生きている人々から出る
 納棺師への感謝の言葉。

・主人公が送った石文が見つかる瞬間。

以上のシーンが主ですが…他のシーンでも度々、涙があふれました。
(明日、目が腫れそうで心配です…汗)

様々な俳優さん達の演技もそうですが…
もうひとつ泣けた理由は、やはり音楽ですね。

チェロの音で届けられる久石譲さんの曲が
また映像とあいまってさら場面が印象づけられます。

なんでもチェロという楽器は人の肉声に近くて
低音から高音まで、広い音域を届けることができる楽器だそう。

「だからかな…さらに心を揺さぶられるのは」

私は久しぶりに

「心にじんわりとした温かさを運んでくれる良い映画」

と思いましたね。

そして「死」は誰にでも訪れるもので、
決して軽視してはいけないとあらためて心に刻みました。




とはいえ、残念なことがひとつ。
私達が観ていた映画館内に乳児を連れたご夫婦がいらっしゃったようで
映画が始まって、1時間ほどして『うーっ』とか『ぶぶぶーっ』と
声にならない声が度々あがり…そしてその数十分後には…

『ぎゃーーーーーーーーーーっ』と泣き声があがる。

「えぇ?!」驚いたのは私だけではなかったはず。
だけど、その後にさらに驚いたのは…

その後、しばらく泣き声と共に数十分ほど映画見るはめに…(爆)

「・・・・・・何度かある山場の大切なシーンなのに」

せっかくの役者さんの演技も…集中して観ることできない。
観ようと思っても、どうしても耳が乳児の泣き声をキャッチしてしまう…

これは、かなり悔やまれました。

私達は午後3時過ぎの上映を見たのですが
座席の少ないスクリーンだったこともあり、ほぼ満席だった館内。
泣き叫ぶ乳児をあやすものの、いっこうに館内の外に出るなどしないため
周囲の人々もしびれを切らしたのか男性らしき観客が
これ見よがしに舌打ちをする始末。
久しぶりに映画館で嫌な思いをしましたね。

帰りの車の中での30代夫婦…映画の感想はさておき

『子供が寝ているからって映画観始めたのかもしれないけど…』

「やっぱり、ああいう映画は内容が内容だからさ…
 例えば、親さんなり、どこかへ子供は預けて
 映画館に来てもらうのが良いと思うのだけど」

と、やはり、今日の残念な出来事が話題になってしまいました。

乳児が泣くのは仕方ないです。
でも、やはりそれなりのマナーは必要だと思うのです。
周りにお客さんがいる訳で、その人達はお金を払って観ている訳で…
さらには大人がじっくりと観たいような映画内容ならなおのこと。
それに子供さんをあやしながらでは
せっかく入場券を払って観ていたお母さんも
映画に集中できないのは…寂しいじゃないですか。

「お互いに気持ちよく映画を観ることができると良いですね」

なんて思った映画館の帰り道でありました。
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シゲル

普段の生活では感じない「死」についてまた考えさせられそうです。
先に逝ってしまう両親にはたして何ができるのか、
最近よく思ったりします・・・。

見たいな思っていたんですが、映画館でみるのはやめようかと思います(笑)。
だって、とてつもなく泣いてしまいそうな気が・・・。
少なくとも、一緒に号泣してくれそうな人と行くことにしようかと思います。
by シゲル (2008-09-15 01:23) 

ユキヲ

>シゲルさんへ
nice&コメントありがとうございます。
そうですね。私達の小さい頃は自宅で葬儀をする場合が
ほとんどでしたから…亡くなってもしばらく愛用していた布団の上に
横たわっていたりして…「死」も感じることができましたけど…
今はほとんど、葬儀会場で葬儀を行うせいか
気がつくと、身近な人が棺におさめられているという場面が多いですね。
だんだんと「死」が日常から遠ざかっているのかもしれませんね。
だからこそ、今回の映画はとても心に響きましたね。
そして身近にいる大切な人のことのことを思い浮かべました。

DVDを手に入れてじっくり家での鑑賞も良いですが
私は映画館で観るのをおすすめしたいです。
役者の光る演技、それに花を添える素敵な音楽と
さらにそれを包み込むように広がる山形の大自然の映像。
これをスクリーンで観ると、さらに心に迫ってきます。素敵でした。
ひとりでも、二人でも…それぞれの人にいろいろなことを
伝えてくれそうな映画ですよ。おすすめです。
by ユキヲ (2008-09-15 09:43) 

tanuki

映画のタイトルしか知らなかったのですが、サイトを拝見して、とても見てみたいな~と思う映画だと思いました(^^)
山崎努さんや笹野高史さんも大好きな俳優さんなので気になります~♪
私も、亡くなった祖母を思い出しながら色々考えるだろうな。。。

それにしても、赤ちゃん連れで映画館に入るとは、本当にKYなバカママですね。(苦笑)
赤ちゃんはいつ泣きだすかわからないことぐらい誰だってわかっていることなのに・・・
赤ちゃんが泣くこと自体は非難しません。それしか感情表現できない年齢なんだから。。。
悪いのは、映画館に連れてきた親です。
できれば、館内から速やかに出るくらいの配慮がほしかったですね。
私もその場にいたら、舌打ちした男性と全く同じ態度を示したと思います。
映画の世界に入り込みたくても、泣き声で現実に引き戻されてしまう悔しさ、すごくわかります。
映画館側も、館内は子連れ一切禁止ぐらいにする体制をとってもらいたいと思います。
それが無理なら、防音対策がしっかりなされている親子席を設けるとか、託児室をたくさん設けるとかして、どんな人でも快適に映画が楽しめる場所にしてほしいです。

by tanuki (2008-09-15 12:42) 

ユキヲ

>tanukiさんへ
nice&コメントありがとうございます。
「おくりびと」
個人的に…今年一番の映画ではないかと。
今までに表だって紹介されたことがない「納棺師」という仕事、
そして人間が生きること、死ぬことについて
笑いと涙をバランスよく持ち合わせたストーリーに乗せて
実力派の俳優陣による豊かな表現で強いメッセージを送る
この映画は鑑賞後
「観て良かった」と心から思える映画でした。

いやはや…赤ちゃんの泣き声には参りました(笑)
そうそう。現実に引き戻されてしまうんです。
目の前で俳優さん達が気迫ある演技をされていても。

関東の方などでは、子連れで鑑賞できるシネコンなどもあるようですが…
岐阜も子育て支援活動などにチカラを入れているところなので
そろそろできても良いかなとは思うんですけどね。
まあ、どうしても限られたスクリーンで多くの種類の映画を
上映しようとすると…これもなかなか難しいんだと思われます。

入場口には、三歳未満のお子様は…
という注意書きも結構、大きな文字で書いてありましたが…
どうやらスルーされてしまったようで(苦笑)
それでいったらもう近頃の電車での出来事なんかも
「それはちょっと…」という困ったさんとの遭遇も何度かありましたし
(先日もJR東海道本線の電車内の通路でほぼ満員なのに
 次の駅で降りるためなのか…電車の走行中、かなり揺れるところで
 折りたたんであったベビーカーを棚から下ろして
 人にゴンゴン当てながら組み立てている
 お母様がいらっしゃいましたねぇ…爆)
もう、こればかりは子供連れのお母さん方の配慮次第ですからねぇ。
とはいえ、せめて泣き出してからすぐに館内から退出するぐらいの
気遣いはしていただけるとありがたいのですが…
ま、これも仕方ないですね。
運が悪かったとしかいいようがないです。

DVD化されたら、もう一度ゆっくり家で観るなりして
楽しみたいと思います(^^;)
by ユキヲ (2008-09-16 17:31) 

whitered

18日の記事にコメントを書いていたら、こちらのテーマが眼に入りました。偶然ですが、14日の水曜日の夕方に私も『おくりびと』を観に行ったのです。大阪では、水曜日がレディースディなのですが。夕方でわりと空いていました。赤ちゃん連れの家族のこと、たまにあるのですよね。先日もクラシック会場に赤ちゃんを連れてきていた人がいましたが、やはり眼が覚めて大泣きをしていました。その方はそうっと出てゆかれましたが。親御さんは、そうまでしても観たかったのでしょうか。自分もゆっくり観ていられないのにね。それに周りの方のことも考えるということが欠落していますね。そういう人は、親との関係もうまくいってないのかもしれないので預けられなかったのかも。最近では、音楽や演劇の鑑賞のときにフラッシュを焚いてカメラで撮影する人がいるのです。こちらが我慢しているのもあって、少々腹がたちます。『おくりびと』は二度三度観てもいい作品なので、もう一度観に行くのもいいかもしれません。私も珍しく眠気が一度も襲わなかった作品でした。私もブログに書きましたので、良かったら覗きにきてください。
by whitered (2008-09-20 07:45) 

ユキヲ

>whiteredさんへ
こちらにもnice&コメントありがとうございます。
whiteredさんのお住まいの地域はレディースデイは水曜日なんですね!
場所によってレディースデイも違うとは…驚きでした(^^)
そうですか…クラシック会場でもあるんですね。
フラッシュ撮影。あれは本当にいけないことですよね。
フラッシュ撮影といえば…
私も先日、アクアトトぎふに出かけた際に思いましたね。
もちろん、水族館もフラッシュ撮影は禁止されているはずなのですが…
私の横で20代前半と思われるカップルがパシャパシャ撮るのですよ。
コツメカワウソの子供を(-_-#)あれには参りましたね。
フラッシュ撮影をすることによって、時に動物がパニックになって
壁に激突するなどして、命を落とすこともあるんですから。

「おくりびと」久しぶりに「何度でも観たい」と思った映画ですね。
DVDも良いですが…あれはやっぱりスクリーンが良いかなと思います。
大自然をバックに主人公がチェロを演奏するシーンもスクリーンだと
より心に響きますものね(^^)


by ユキヲ (2008-09-20 21:59) 

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