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「初釜、初体験」 [着物のはなし]

母がちゃっかり手に入れていた初釜の券のおかげで
私、母と一緒に初釜に出かけることに…

ご存知の方もいらっしゃいますが…

私、茶道は本当に無知です。

だから、恐ろしかったですよ。
初釜のことを教えてもらって自分で調べたら…

行く先は国宝茶室「如庵」がある犬山の有楽苑。
http://www.m-inuyama-h.co.jp/urakuen/

母いわく
『前の人に習って、動作をこなせば大丈夫よぅ』

「落語の本膳(ほんぜん)じゃないんだから…」
http://senjiyose.cocolog-nifty.com/fullface/2005/09/post_a0d2.html
母の返事に不安がつのる私。
まあ能天気な母に聞いた私がお間抜けでしたよ(笑)

という訳で1月3日(木)ついに出かけることに。

午前10時。
いつものごとく、一宮駅前にて母に連行され、
木曽川の堤防沿いの道を走り、到着したのは
名鉄犬山ホテル内にある有楽苑。

昨年の初釜も来ている母は勝手が分かるようで
『こっちよ、こっち』とマイペースにすたすたと歩く。
前売券があっても、多くの人が集まる初釜。
お茶をいただく場所とは別の建物で整理券を渡され、
待つ事に…私たちは7席目。まだまだ先のようです。

待ち合い室となった別棟では、今回お茶席で使われる
茶道具の木箱から、詳細を小筆でしたためた和紙が
展示されておりました。

『今、見ている人達の後ろに並んで…自分の番が来たら、
 礼をして見せていただくのよ』

「はい」

茶托や棗が入っていた木箱の裏書きや、その他、様々な茶道具を拝見する。

それにしても…やはり、初釜。
お着物姿の方がたくさんいらっしゃいます。
上品なスワトウや、江戸小紋などを着こなした多くのご婦人から、
初釜らしく、お振袖を着たお嬢さんなど…

「本当、日本のお正月ですね」

本当はこの日、着物を着たかったのですが…
残念ながら、この後に予定が入ったために、洋服にしました。
まあ、どちらにしても、ここに来るには、実家に預けてある
正絹の着物でないと来ることはできないので…
となると、妹のことでいっぱい、いっぱいの母を巻き込むことに
なりますから…それは、それでちょっと困ったことになりますからねぇ(滝汗)

「洋服で良かったのかもね」

にしても、洋服であっても、油断は禁物。

この日、ストッキングで来た私。

とはいえ…母。ぬかりなし。
そそくさと持参したソックスを手渡し『これ履きなさい』
確かに…ストッキングは生足同様。
茶室では失礼にあたります。
またひとつ勉強です。

しばらくすると、7席目の番に…茶席が催される茶室に移動。

ところが、この茶室がある建物に入るものの
廊下や別室で、2席待つ事に…

「さ、寒い…」

木造ですから、すきま風が少々こたえます。

そしてやっと7席目となりました。
母が『ここが一番、茶道具やお点前が見えるからここにいらっしゃい』と
そそくさと座る母。そしてその横に座る私。

確かに、茶釜や茶碗がよく見えます。

「あなどれない、母」

しばらくして今回の席を担当される先生より
茶室にかかった掛け軸などの説明があり、
お点前が始まりました。

今回は、席を担当される先生が還暦、
そして先生のお母様が米寿(だったと記憶していますが…)だそうで
今回使う茶道具には「寿」など「おめでたいもの」をあしらったもので
まとめられていました。

まずは茶菓子が…
母に借りた懐紙を右手に準備して、右手から来た茶器を一礼して
いただくことに…そしてその後は、
お点前を拝見しながら、ひとつひとつの茶道具を見つめる。

しばらくすると…それぞれの方々にお点前がふるまわれました。
松をあしらった茶碗など、素敵なお茶碗がお茶席に並びました。

母の動きをちらりと見ながらでしたが、初釜のお茶、美味しくいただきました。

無事に茶席が終了して、私、びっくりした光景が…

それは多くの方々が一目散にお点前を披露した茶釜の横に行ったかと思うと
そそくさと座り、一礼した後に茶道具をじっくり拝見する姿。

それは我が母も同様でございました(笑)

とはいえ、後がつかえているので、席を担当の先生のお弟子さんたちが
「申し訳ございませんが、後の方々がいらっしゃいますので…」
と、やんわりとお声をかけている。

この時点で12時過ぎ。
これからまだ、午後3時までは茶席が続く予定。
ご迷惑にならないように早々に私と母も、茶席を後にしました。

にしても、もうひとつびっくりしたのは、
あの席を担当した先生が客人に茶道具の説明をするところ。
器にしても、掛け軸にしても、それぞれの道具の制作者から
道具についての背景等々がよどみなく出てくるのです。
母に聞くと…
『私が教えてもらった先生も言っていたけど、ああいう道具は少しずつ集めるの。
 そうすれば、ひとつひとつの道具のことが頭に残るし、知識が深まると。
 一千万円あったところで茶道具買い占めても…ねぇ』

「ふーむ。なるほどねぇ…」妙に納得。

さて、驚きの謎も分かったところで…
時間に余裕があれば、本当は有楽苑の中を散策したかったのですが
(以前、カーサ・ブルータスの日本建築特集の茶室関連の記事を読んで興味もあったので)
残念ながら、待ち時間が長かったせいもあり、時はお昼。
お腹も空いてきましたし、この後は、お点心をいただくことに…
有楽苑は、名鉄犬山ホテル内にあるので
お点心はそちらのホテルの中にある広間でいただきました。

おだしも上品な、ゆずの香り漂う、お雑煮。
そしてお正月らしい、品が並び素敵なお点心でした。

うむ。ようやくお正月が私のもとにもやってきたようです。

この後、私は母の運転で再び、一宮駅に…
母と別れました。

まあ、母はあいかわらずマシンガントークでしたけど…(笑)
自分一人では味わえない、普段とはまた違ったお正月を堪能できましたので
それについては感謝します(^^)


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コメント 4

tooshiba

お正月の一日を素敵に過ごされましたね。

日本文化は奥が深いと感じさせられました。
by tooshiba (2008-01-06 20:06) 

ユキヲ

>tooshibaさんへ
nice&コメントありがとうございます。
いやはや、おっかなびっくりではありましたが(汗)
貴重な1日となりました(^^)
にしても…お道具にしても作法にしても…
日本文化は奥が深いです。
名前に「道」のついているもの(華道、書道、武道など)は
特に深いように感じます。
by ユキヲ (2008-01-07 12:16) 

ぼよ

この初釜って5日に催されたものですか?
私の知り合いの、お茶の先生も同じ犬山に
行くと言ってたものですから。

お茶というのは、奥が深く、そして礼儀作法というの
ものに一番厳しいかつ、歴史があるので素晴らしい
日本の伝統ですよね、私も今月初お茶会に
行く予定です。ユキヲさんを見習って、勉強しよう!
by ぼよ (2008-01-10 12:14) 

ユキヲ

>ぼよさんへ
こちらにもコメントありがとうございます。
そうなんです。こちらの初釜は1〜6日まで催されていたそうです。
6日間にわたるため、前売り券も2日ずつ、計3種の前売り券が発売。
我が母は、3・4日に入場できる前売り券を購入したようです。

にしても…茶道は本当に奥深いですね。
所作にしても、茶道ならではの美術
(様々な茶道具から床の間を飾る掛け軸まで)も今までこれほど
間近で体感したことがなかったのでこの日は驚きの連続でした(^^)
ちょうど、現在、教育テレビの「趣味悠々」で「初釜を楽しむ」という
シリーズが放送されているのですが…
http://www.nhk.or.jp/syumiyuuyuu/cha01.html
それを見たこともあって「少し予習して行けばよかった」と
少々後悔の念もよぎる今日この頃です(苦笑)
by ユキヲ (2008-01-10 13:42) 

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