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「若冲の屏風の謎が解ける」 [芸術etcのはなし]

さて、先日10日(日)で終了した「若冲と江戸絵画」(愛知県美術館)
まあ、ブログにも書いたのですが
http://blog.so-net.ne.jp/yukiwochannel/2007-06-07-2
鳥獣花木図屏風(ちょうじゅうかぼくずびょうぶ)のことが気になってたんですよね。
「なぜ、ヒクイドリとかオウムとか…江戸時代って鎖国の時代なのに
 若冲の屏風には、これらの異国の鳥達が描かれているんだろうか?」

その疑問が、ひょんなところから解けることに…
それは先日、NHK教育テレビで再放送されていた「通崎睦美」さんご出演の
『知るを楽しむ:歴史に好奇心「京都きもの玉手箱」』

大型店舗の書店に出向いたところ、幸いにもテキストが販売されていたので
購入しようとした私。ふと見ると2月分も1冊の中に入っておりました。
で、3月分の「京都きもの玉手箱」を読み終えた後に
会社までの通勤時間などを使って、2月の特集も読んでみることにしました。

2月の特集は「江戸のなんでも見てやろう〜絢爛!博物誌の世界」というもの。
で、この第一回に「徳川吉宗」が登場するのですが、そこには
「博物将軍・吉宗」というタイトルが。
吉宗さんといえば…亨保の改革を進めた人として歴史の教科書では習いましたけど…
このテキストと読み進めてみると教科書にはないことも多く、なかなか興味深い。

何でも、将軍吉宗は儒学や和歌の教養には乏しかったものの
(当時の儒学者の室鳩巣(むろきゅうそう)や
 六代将軍家宣(いえのぶ)の正室「天英院(てんえいいん)」の父である
 近衛基熙(このえもとひろ)が、吉宗に儒学や和歌の教養や関心がないことを
 日記などで書き留めているんだそうです)
法律・農政・天文・気象・地理・医学・薬学・蘭学などの
実用的・実学的なものには高い関心を持っていたそうで
江戸城内には実用的な学問に関係する書物を収集していたんだそうです。
そこから派生して、吉宗は、広く物事に通じ、動物、植物、鉱物、地質などの
天然物を収集・記録・分類・考察する学問である「博物学」というものに
強い関心を持ち、最終的に関心は異国・異文化にまで及んだとか。

ということで、結果的にオランダ商館を通じて、象、西洋馬、猟犬、ヒクイドリ、
ジャコウネコ、クジャク、ダチョウ、七面鳥、ガチョウ、インコ、文鳥、九官鳥、
山猫など、日本にはいない珍しい動物を輸入したというのです。
あ、そうそう、コショウの苗木やココナッツの苗木などの珍しい植物も
取り寄せたんだそうですよ。

で、これを読んだ私。大いに納得。
あの鳥獣花木図屏風(ちょうじゅうかぼくずびょうぶ)のモチーフの中に
ヒクイドリがいたのは間違いではなかったんですね。
若冲やそのお弟子さん達は何らかのいきさつでヒクイドリを見たかもしれませんね。

まあ、確かに…日本史に精通している方なら「な〜んだ」なことかもしれませんが
(おまけに鎖国とはいえ、オランダなどの特定の外国とは交流があった訳ですし…)
とはいえ、私、学生の頃は「世界史」を主に勉強していたもんですから
(といいつつ、結局は歴史が苦手な人なんですけどね…苦笑)
ひょんなことから手にしたテキストからまさか若冲の屏風の謎が解けるとは…
いやはや、勉強になりました。


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whitered

名古屋でもやってたんですね!『若冲と江戸絵画』 私は京都の相国寺で『若冲展』を観ました。こちらは、相国寺にある釈迦三尊像と宮内庁に差し出した30幅の動植綵絵が約120年ぶりに再会するという企画展でした。一室に三十三幅の絵が飾られた会場は、圧倒されるやら興奮させられるやらでした。昨年は、『着物検定』があったおり、会場の京阪深草駅の近くにある石峰寺に寄って若冲のお墓にお参りしてきました。私のブログも見てきてくださいね。『若冲展』についても書いていますんで。
by whitered (2007-06-13 17:48) 

tanuki

なるほど~!!吉宗将軍は博学というか、理系人間だったのですね~。
博物学への関心が、美術表現というメディアを通じて江戸中に広まったんだと思うと、とても興味深いです。
インターネットで何でも情報が入る現代とは勝手が違うけど、当時の人々にとってはかなりのカルチャーショックだったのではないでしょうか♪
学校では習わない歴史の一面を、まさに「知るを楽しむ」という感じですね!(^^)
by tanuki (2007-06-13 20:08) 

ユキヲ

>whiteredさんへ
nice&コメントありがとうございます。
そうなんですよ。大阪とかの首都圏巡回した後で
名古屋はやっぱり一番最後で(苦笑)
とはいえ、ちょうど2月に東京を訪れた際に森美術館で若冲の作品を見て
「別の作品見ることできたらいいな」と思っていたら
名古屋で開催の回顧展の話を帰宅後知りました(汗)
京都の相国寺での若冲展は素晴らしかったようですね。
(某SNSでも話題になっておりました)三十三幅の絵は圧巻でしょうね。
石像が壊されて別の意味でも話題になっておりましたが(汗)
とにもかくにも、興味が湧いた時期にタイミング良く
名古屋でも若冲の作品を見ることができたのは非常にラッキーでした。
by ユキヲ (2007-06-14 12:27) 

ユキヲ

>tanukiさんへ
nice&コメントありがとうございます。
そうなんですよ。学校では「質素倹約」は習ったような気がするのですが
まさか、異国の動植物に興味を持っている理系人間だったとは(笑)
いろいろネットでも調べてみたんですが
小さい頃から数字には強い人で、理系思考だったようですよ。
江戸時代の一大「象」ブームは吉宗さんの象の輸入がきっかけだそうで
かわら版など、様々なものから「象」に湧いていた江戸を垣間見ることが
できることから、やはり町民からすれば相当なカルチャーショックだった
ようですね(^^)
by ユキヲ (2007-06-14 12:40) 

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