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「大阪遠征のご縁で再び活版印刷を体験させていただく」 [作品制作のはなし]

さて、7月に思い切って大阪まで出かけて
「なにわ活版研究所」さんの所で
初めて、活版印刷に触れた訳ですが…
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09

そのワークショップの際に、
たまたま名古屋からいらっしゃった方とお話することができました。
その方はNさんという方で、既に中古の手フートをお持ちで
名刺等、様々なものを印刷されているのだとか。
Nさんはフリーランスでグラフィックデザイナーをされている方。

『もし、よかったら名古屋の事務所に
 手フートがあるので遊びに来てください』

というお誘いを受けて…

「遠慮もせずにお邪魔する人がココに…」

そんな訳でNさんの事務所にお邪魔させていただきました。

名古屋地下鉄の駅から歩いてしばらくすると見えるビルの中に
Nさんの事務所がありました。

活版.jpg
お邪魔すると…活字がいっぱい。

「わぁーっ」

ということで、今日は活字を組ませていただくことに…

『ちょうど自分の名刺も印刷しようかなと思っていたので…
 大丈夫ですよ。お好きなように組んでみてください」

ここで活字の組み方をNさんにレクチャーしてもらうことに…

ステッキ.jpg

「このステッキに拾った活字を並べてください。

ローマ字で名前を綴ろうと、欧文の活字を拾う私。

「おや?スペースを作る場合はどうすれば…」

ステッキと込め物.jpg
『あ、その場合はこの込め物を使うんですよ』

なるほど…
これがいわゆる「スペース」の役割をしてくれるのですね。
となると…

「行間にあたるスペースはどうしたら…」

木インテル.jpg
『それは、この木インテルを使うと良いですね。
 これ、もう今は生産されてなくて…中古でしか手に入らなくて…』

「そうなんですか…」

色々と勉強になります。
私の名前.jpg

こうして…組み終わった私の活字。

今度は、端が崩れないように
ファニチュア(金属製の棒のようなもの)で周りを囲み、
チェース(枠)をかぶせて、中間にジャッキを入れ
枠の中を埋めるように、インテルやファニチュアを入れて
固定していきます。

ここでは、組み込んだジャッキを使って
ガチガチに固定するのではなくて、ある程度遊びがある程度に締めるそう。

というのも…

ならし木を乗せてたたく.jpg

『この時点では、活字が平らにはなってないので
 「ならし」の作業が必要なんですよ。
 なので、この「ならし木」を版に乗せて
 ハンマーでたたいて、ならしていくんですよ。
 あくまで活字を平らにするのが目的なので、
 活字をつぶさないような力加減がポイントですね』

「なるほど…」

この「ならし」の作業が終わったら、
木インテルに対して、平行になっている方の
ジャッキから閉めていくそうです。
というのも、活字の行の並びを木インテルに沿って
平行に整えるということと、行間などを作るために
木インテルが多く入っているので、
その分、よく締まるそうなです。

『こちらも締め過ぎると、版がゆがんだり
 機械からの取り出しが上手くいかなかったりする
 原因になるので適度な締め加減が大切なんです。
 上下ばかり締めるんではなくて…
 上下から左右、少しずつ締めていくんです。
 だいたいの目安は、ジャッキの柄の部分を
 指先で軽くつまんだ時に、指先に軽く抵抗が
 感じる事ができる程度ですね』

「絶妙な力加減が大切なんですね」

ちなみにNさんの名刺は手フートで印刷されているそうなんですが…

「もう自分のモノなので、常にこうしてファニチャに入れっぱなしにして
 ゲラ箱に保管しています」

『ほほぅ…』

そう、校正(印刷前の試し刷り)のことを
ゲラ刷りというのは、ココから来ているんですよね。

インクを手フートに.jpg

そして、手フートには、インキの準備を…

『レバーを上下すると、インキがなじんでいきますから…』

ということで、私もレバーを上下させてもらい…

「インキをなじませる作業をやらせてもらう」

『最近は個人のレタープレスの人たちにも購入しやすいように
 インキも小さいタイプなんかもあって…便利なんですよ』

まるでコスメのフェイスクリームのサイズのような
数センチサイズのボトルに様々なカラーが入ったインキも
見せてもらいました。
中には蛍光や金、銀なども…

「ほぉー、特色系!」

『そうなんですよ。このサイズで少しずつ
 買い求めることができるので、ちょうどいいんですよね』

「これなら手軽に色も試す事ができますね」

刷り上がり1.jpg
そして、基本的な黒インクで印刷させていただいたのがこちら。

「やっぱり、1文字、1文字、印圧もかかって
 角に丸みが出て、文字にあたたかみありますよね」

今回、私は手元にあった紙を色々と持っていったのですが…
(仕事柄、昔からあちこちで見本用などに取り寄せた後に
 余った切れ端の紙を、いただいたこと度々…)

刷り上がり色々.jpg

「その紙達で色々と印刷してみるの巻」

これまた紙が違うだけで表情がまた違いますね。

するとNさんより、こんな紙も見せていただきました。

色々な紙.jpg

『竹和紙なんていう紙もあるんですよ』

触ってみると、柔らかくて
また活字の印圧がきれいに仕上がりそうな紙質。

「いいですねぇ…」

Nさん、こちらの見本紙をなんと譲ってくださいました。
ありがとうございます。
今度、私も色々と取り寄せてみようと思います。

そうそう、Nさんに、もうひとつ良いものを教えていただきました。

viva活版.jpg

『個人で活版印刷されたい方には
 おすすめの本があるんです。
 僕もコレで色々と勉強しました』

Nさんも東京でのワークショップに何度が参加されて
手フートの基本的な手入れと使い方について
学ばれたようですが、この本は基本的なことが
書かれているので、とても勉強になったそう。


「私もNさんとお会いした後に、すぐに買い求めました」

私は美術系の短大で、グラフィックデザインを勉強しましたが
それでも、活字となると分からないことが多いです。
ですが、この本は基本的なことから書かれているので
これから活版印刷を始めてみたいという方にも
おすすめの本かと。

名古屋では、なかなか活版印刷のワークショップがなく…
身近にも活版印刷をされている方がいらっしゃらなくて…
そんな経緯もあって、7月に大阪まで遠征した私でしたが
それがご縁で、こうして名古屋で個人でされている方と
お知り合いになれたので、大阪への遠征は、
少しずつ、こうしてつながってきているので
やはり、思い切って出かけて良かったと思います。
今すぐに…とはいきませんが、
いずれは自宅で手フートを使うことを念頭に置いて
これから少しずつ勉強していきたいと思っています。

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