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「『クルージングすごろく』ができるまで」 [作品制作のはなし]

さて、今回の企画展「Bon Voyage」の雰囲気を
前の記事でつかんでいただいたところで…
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02

作品完成に至るまでの話しをいろいろと…
ま、備忘録も兼ねて。


私が夏といえば…

「海」

な訳です。

小さい頃から夏休みは内海の海水浴場に家族で出掛けたものです。

しょっぱい水に、浮き輪でぷかぷか浮きながら波にゆられると
時折、足の先に流れてきたワカメがまとわりついてきたり…
で、浮き輪を浮かせたまま、ザブン!と下に潜って
両手を上げて「わーっ」と再浮上して隣にいた妹を驚かせたり
本当、他愛もないことして…
そりゃもう平気で半日とか遊んでいたんです。
おかげで真っ黒な子でしたよ。
ええ、水着の跡がくっきりと残るタイプの子でしたよ。

「私の海のイメージは、30代になってもこんな状態」

でも…あの日から海のイメージが一変しました。
そう。あの東日本大震災の津波の映像。

会社で揺れを感じたあの日…
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2011-03-12

帰宅してから、テレビで流れるのはあの映像ばかりで…

「なんか…私…今度の作品のテーマ、海にしていいんだろうか?」

と…そこで思考がストップ状態に。
(結局、しばらくしてテレビを見ないことにしたんだけど)
アイデアも何も…「私、こんな絵描いてていんだろうか?」と思ったりして
ちっとも進まず…しかし、このままではいけないと思って
もう一度、海のことを思い出してたら…

「あ…」

と思いついたのが、小学生の頃の話。
近所の同級生の子が、たしか
青少年育成のためのイベントだったと思うのですが
クルージング旅行に数泊出掛けまして…
当時の私、海=海水浴だったため…

「船とかで旅出来るの?すごいなぁ!」

なんて思いつつ、とても羨ましかったのです。
たしかその年の夏休みの工作は、さんふらわあ号
http://www.ferry-sunflower.co.jp/
(たしか、当時よくCMで流れていて
 あの側面の太陽のヴィジュアルがかなり印象的だった
 この頃から、やはり原色好きだったんだなと今思う)
あれをイメージして
エリエールのティッシュBOXと
石鹸などの空箱を使って、船を作りあげて
側面に赤とオレンジ色のクレヨンで太陽描いて…
夏休み明けに学校に持って行った小学生の私。

「船はあこがれの乗り物だったんだよね…」

あこがれを身近な工作で昇華させてたあの頃を思い出し

「そうか…船か…」

と思って、ここから船の本を熟読する日々が始まったような気がします。

まあ、やはり…一応グラフィックデザイン科卒業なので
「船と言えば…あの方でしょう!」
と読み始めたのは…アンクルトリスの生みの親である
柳原良平さんが書かれたエッセイや旅行記など。
小さい頃から船好きの柳原良平さんは、
とにかく船について書かれた本が多い。
そしてエッセイ風で読みやすいものから色々と読み進めました。
特にクルージングでの過ごし方については、
大変参考にさせていただきました。

あとは、船舶通信の専門書から
船の構造を紹介した子ども向け絵本まで。
どれぐらい借りたかな…

「一応、1回10冊まで借りられるので…30冊ぐらいは軽く借りたね」

自転車で疾走し…図書館には何度か通ったわ…
まあ、部分的に参考にした本もあるので
全部読んだというのは苦しいですけど…
でも、数冊ぐらいは熟読したかな。

そしたら何が面白いって…

「客船での旅の奥深さ」

知れは知るほど…

「これ何か作品に反映できたら…」

と、ふつふつと思い始めて…
このドラマみたいに毎日様々なことが起こるのは…

「すごろくにしたら…面白いかも」と、思い直して…
出来上がったのがあの手描きポストカードでおなじみの
カエルのふくちゃんを主人公にした「クルージングすごろく」です。

sugorokuOmote.jpg

BV3.jpg
今回の展示では大きなサイズにプリントしたものを
ミニイーゼルを使い展示しました。
この大きくしたのと、横に立体的にカエルのふくちゃんと
その家族を配置したことで…
展示中、えいこーんずさんの前を
登下校で通過する小学校低学年の子ども達のハートを
しっかりとキャッチできたことで、
(中には座り込んでジーっと観てくれた子もいるそうで…)
私のすごろく制作の苦労は全て報われた気がします。

実際のサイズは以前に制作した
「かえるすごろく(注)」と同じB5サイズなんですけどね。
(注:カエルすごろく…カエルの卵からおたまじゃくし、
 そしてカエルへと成長するというすごろく)

現在、展示でもお世話になった
「えいこーんず」さんのネットショップでも販売中です。
http://haycorns.shop-pro.jp/?pid=33037572

すごろくの内容は…
DMのメインヴィジュアルとなった
あの「Bon Voyage」にあたる国際信号旗もからめつつ…
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2011-06-27

船長さんの袖の金の筋は何本入っているかとか…
船内にも新聞があるとか…
船内ではカルチャー教室があるとか
何よりパーティーがたくさんあることとか…
私が本などを通して知って
「へぇー、こんなのあるんだ…面白い」
ということを、
かえるのふくちゃんに全て体験してもらいました。

「ふくちゃんにはいつか旅をさせてあげたいと思っていたので」

普段はポストカードの中で日常を過ごしている、ふくちゃん。
いつか旅をさせてあげて、いろいろ体験させてあげたいなと
私も静かにアイデアをあたためていたのですが…
どうしても飛行機や電車だと目的地が特定されたりして…

「うーむ」となってしまって…
そう、何だか場面の広がりに欠ける気がしたので…
お蔵入りにしていたのです。
でも、今回いろいろとクルージングのことを知り
これはと思って描きあげました。
結果としてお蔵入りにしたおかげで
上手く場面の広がりもできたし、展開もテンポが出たかなと。

「ま、そのおかげでいろいろと場面展開を試みた結果
 密度が濃くなって、文字が多くなったりしたのは…」

制作者の腕がね…(と、反省してみる)

そうなんです。
こちらの方が最初に制作にとりかかったんですよね。
でも、完成は、もう一つの大きな作品と同時でした。
なぜなら…

「イラストを描く点数が多かったので」

なにぶん非日常の場面が多いすごろくとはいえ…
小さいお子さまから遊んでもらうもの。
(という前提です。一応)

「間違ったことは描けない」

ので、もう資料集めては描いて…の繰り返しでした。
でもそれも含めてとても楽しかったのですけどね。

SugorokuUra.jpg

「裏面も、今回は海だけにサイコロを救命浮き輪にしてね…」

これ、かなりお気に入りです。
あと裏面にだけ…
セーラースタイルのふくちゃんと、妹のさちちゃんがいます。


そんな訳で、すごろくのできるまでを書き綴ってみました。

思いのほか長くなったので、
大きな作品のできるまでについては…また別に書こうと思います。
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