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「小袖 江戸のオートクチュール展に出かける(前編)」 [展覧会のはなし]

5月31日(土)
初公開 松坂屋京都染織参考館の名品
小袖 江戸のオートクチュール展に出かけてきました。

最近、和裁のお稽古を始めたこともあり
地下鉄の駅のラックでチラシを取ってから
気にはなっていたのですが…
和裁のお稽古がある故に毎週の時間がいっぱいいっぱいで
なかなか出かけることができず…
「行こうかどうしようか…」と迷っていた時に一通のメールが…
メールの送信者は私が新卒で入社し、
3年勤めた印刷会社でお世話になった1つ上のM先輩。
「おぉ、おひさしぶりですぅ」と思ってメールを開封してみると…

『小袖 江戸のオートクチュール展の
 チケットあるんですけど…よかったらいかがですか?』

「えぇ〜っ!」
なんというタイミングなんでしょう。

「これは神様が『行きなさい!』と言っているんだ」と思うユキヲ(笑)

速攻でM先輩に返信メールをしてチケットを譲っていただいたのでした。

さて、今回出かけた展覧会は「小袖」にしぼって展示。
「小袖(こそで)」というのは、袖口が小さい着物のこと。
江戸時代のものを中心に様々な素材(絹、上布、綿など)で
できた小袖を取り上げて紹介されていました。

今回は、松坂屋京都染織参考館で所蔵されている小袖で
松坂屋が今後、新しい呉服作りに活かすためにと収集した
過去のすぐれた染めや織り、刺繍などの模様をあしらった作品ばかり。
松坂屋のコレクションは文化財としても大変価値あるものなのですが
今までこうしてまとまった形での公開はなく、本邦初公開なのだそう。

「これは楽しみな展覧会ですよ」

という訳で5月31日(土)
和裁のお稽古の前に出かけようと
和裁のお稽古バッグを持って
(着物と帯の反物+お裁縫道具等々が入っているので重い…汗)
出かけることにしました。

博物館にはロッカーがあるので
(最近、どこの美術館にもあるのでありがたいですね…
 100円硬貨をつい忘れそうになるのが危ないですが…苦笑)
重たいカバン達ともしばしのお別れ(笑)
身軽になって、会場へ…

最初のスペースは
「小袖もよう アートをまとう」ということで
小袖の多彩な模様を鑑賞できるよう
様々な技法を駆使した作品がずらりと展示されていました。

会場の説明文や購入した図録の説明文にもあったのですが…
小袖の模様で最も多いのは、草花や樹木の模様なのだそうで
この模様も、それぞれに意味を持っていたとのこと。
例えば今ではお正月にお店の玄関などに見られる門松に
だいたいあしらわれている「松竹梅」は、
厳寒の中でも緑の葉を保ち続け、また清楚な花を咲かせるということで
「生命力のある樹木」として尊ばれていたとのこと。
そして「菊」は延命長寿の薬になると伝えられていたのだそう。
とはいえ、植物以外の模様にも意味があり
例えば和歌の文字を散らした模様は、古典文学に対する高い教養を
示す効果的な模様だったようです。

昔は今のようにすでに仕立てあがっているものを
買い上げるというのではなく、
「白生地を使って、着る人の容姿や趣味に合わせて作る」のが常。
そう、あくまで注文主の意向を受けて作られるため、小袖は高級品。
そういう意味で今回のタイトルに使われている
「オートクチュール(高級注文服)」につながる訳ですね。
とはいえ、身にまとう人をより美しく見せるものであると同時に、
その人の趣味や教養を語るためにも、模様というものが
とても重要な役割をしていたことが
様々な模様がほどこされた小袖を鑑賞して感じ取れました。

私が一番興味深かったのは
「流水に杜若模様振袖」
裾から肩、袖にかけて杜若の模様がほどこされているのですが
金糸と紅糸で杜若の花が刺繍されているのです。
それも葉と茎から離れた部分にランダムに…
「お花なのに…なぜ点在?」と思っていたら…
説明文によれば「杜若」を「燕子花」と書く事を意識して
あえて、点在させることで「飛ぶつばめ」を表現しているそうな…

「おぉっ。た、確かにつばめに見えますよ」

意味が分かるとさらに印象も深まります。

それから…「雪持ち水仙に仔犬模様振袖」という作品は
とても愛らしい子犬が刺繍された小袖なのですが
この仔犬達が今でも出てきそうなほど描写力にすぐれた刺繍で…
1本、1本が毛並みのように見えて、大変すばらしかったです。

あと「茶道具生花模様小袖」は
茶道具と生け花を友禅染めと色糸、金糸の縫いで
仕上げてあった総模様の小袖だったのですが
小さい頃、家族総出で組み立てた七段飾りのひな人形を
ふと思い出しました。
当時、ままごとが大好きだった私は
その「和」テイストな道具
(婚礼道具のミニチュア…つまり茶道具のミニチュアなど)
にほれぼれしており。
(そういう意味では小さい頃から和に傾倒する片鱗があったのだね…笑)
毎年出してはディスプレイされた箱の中から取りだして
茶道具で、ままごと遊びしたい衝動にかられていたものです(笑)

他に、小袖へ文字模様をほどこした作品を鑑賞したのですが…
その刺繍された文字の申し分ない文字のバランスに思わず感動。
「五体字類を思い出す…」

実はユキヲ、小学校1年から社会人1年生になるまでの
14年と少しの間、書道を習っておりました。
たしか、短大生頃に購入したのがこの本。

五體字類 改訂第3版

五體字類 改訂第3版

  • 作者: 法書会編集部
  • 出版社/メーカー: 西東書房
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 単行本



楷書、行書、草書など、様々な書体を書く上で
お手本となるような文字が数多く掲載されている本です。
私が通っていた書道教室では、
一般のクラスになると、先生が書かれた楷書の手本を見ながら
自分でこの「五体字類」を見ながら、課題の「行書」や「草書」
などをこなしておりました。

「流れるような『はらい』、軽快な『はね』
 そして力強さがありながら優雅にすら感じる『とめ』…
 どの部分を取っても美しい」

美しい文字を鑑賞したのが久しぶりというのもありましたが…
今回の作品は色糸や金糸で刺繍されているだけあって
さらに美しさが増して…とても素晴らしかったです。

他にも贅沢に鹿子絞りをあしらった小袖から
糸目糊をふんだんに使い、
(糸目の太さが現代より細く感じたのは気のせいでしょうか?)
繊細でありながら華やかな友禅染めをほどこした小袖まで
様々な作品が展示されていて…
この時点でユキヲ
「もう、大満足です」
でも、まだ後半のスペースにもたくさん作品があるようです。

おおっと、熱く書き込んでいたら随分と長くなってしまいました。
長くなりそうなので後半編に続きます。
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かの

こんばんは。
レポートありがとう★★
雰囲気が伝わってきてやっぱり…


行きたかった~(笑)


なぜあの日だけ火曜も休みだったんだろう(T T)


明日ホントごめんね。
今度会うときいろいろなお話ができるのを楽しみに待ってます★



by かの (2008-06-15 00:05) 

ユキヲ

>かのさんへ
こんばんは。
レポート…本当、文字ばっかりですみません(-公-;)
名古屋市博物館…
どうも公共施設にある月曜に加え、
ここは第4火曜もお休みみたいなんです(T-T)
なぜ、第4火曜なのか…謎です(-公-;)
今度会う時に、またこのお話も含めていろいろと
お話させてくださいね。
坊ちゃんも、かのさんもくれぐれもお身体、お大事に…
by ユキヲ (2008-06-15 20:11) 

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