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「第5回円空大賞展:岐阜県美術館」 [展覧会のはなし]

先日、私が参加した造形短大の同窓会記念企画展示「デザインムーブメント」
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2009-03-15
こちらは無事に終了したのですが
今週は「ファインアートムーブメント」ということで
立体作品を中心に制作されている先輩後輩さん達の展示が
同じ会場で、規模も拡大して展示されています。
(確かに、立体なので…大きさも様々ですからね…スペースの確保は重要)

で、造形短大出身の大先輩の遠藤利克さんも
名古屋市民ギャラリー矢田で非常にスケールの大きな作品を制作されて
展示をされているのですが…
(実は参加者の特権で搬出時にちょっと見せていただいた…笑)
なんと、先日「第5回円空大賞」の「円空賞」を受賞されて
現在、作品数点が、岐阜県美術館で展示されているとのこと。

「まさか家から比較的近い距離にある岐阜県美術館で展示されていたとは…」

そうか…最近、忙しくて新聞の文化催し欄とか
チェックできてなかったものね…いかんなぁ(´□`。)

さて、その問題の「円空大賞」なんですが…

岐阜県とゆかりの深い円空とその精神にあらためて注目すべきということと
円空を彷彿とさせる、顕著な業績をおさめている芸術家を顕彰することで
県民に優れた芸術文化に触れる機会を設け、
芸術文化の創出を振興を図ろうと、平成11年(1999年)に制定されたのだそう。

選考委員も委員長は梅原猛さんだし
委員には地元アーティスト日比野克彦さんなどもいらっしゃる。

「すいません。全然知りませんでした(´□`。)」

そうねぇ…愛知県に29年住んでいた私はまだ岐阜県民歴3年だから(苦笑)

さて、同窓会展の実行委員をされていて
以前よりアート系イベントなどで何度かお会いしたことのある
鈴木敏春さんより
「遠藤くんの作品も展示してあるってことで…
 手元に招待券があるので、よろしければぜひ!」
と声をかけてくださったのでありがたく頂戴したのですが…

「これは最終日にしか出かけられないなぁ」と。

最終日は20日(金・祝)

「祝日で幸いしましたよ…」

ところがよくよく見ると…

「え!午後9時まで開館しているの?」

そうなんです。
岐阜県美術館は第3金曜日は夜間開館日ということで
この日は午後9時まで開館しているとのこと。
ちょうど、この日は妹が昼間、我が家に遊びに来る予定もあったので…

「じゃあ、今まで出かけたことのない夜に行ってみよう」

と思った訳です。
とはいえ、こうした複数の芸術家の作品展示の企画展の鑑賞は久しぶり。

「最近、気になるアーティストや元々好きな作家さんの作品を
 事前にチェックして心構えして出かけることがほとんどだったし…」

最近ではエリック・カール展や田淵俊夫展とか…
(あーっ、これ観た感想も書きたかったのに…忙しくて書けてないし…爆)

で、夕食の下準備だけして出発。
到着すると…何やら男性の声で作品の説明が行われている様子。
受付で聞いてみたところ…

『今日は作品鑑賞会ということで無料で学芸員による
 作品の説明を午後6時半より行っております』

なんとラッキーな!

時間はちょうど6時半過ぎ。
最初の方はちょっと聞き逃してしまいましたが…
造形の大先輩の遠藤さんの作品の説明もほとんど聞けました。

遠藤さんの作品は現代の日本の芸術家には少ない
スケールの大きな作品がほとんどで
この日、拝見した作品も、鉄板の壁越しに水しぶきの音が轟く中で
ぽつんと置かれた水瓶との対比が非常に興味深い作品を鑑賞することが
できました。
学芸員さんの説明では「見えないところで鳴る大きな水しぶきの音と
それにひきかえ、鉄板越しにたたずむ自分の静寂さとの対比で
ジレンマを表現しているとのこと。

ちなみにこの水しぶき…人間にとって一番良く聞こえるように
遠藤さんが調整しているそうで…
『とはいえ、水ですので、多少蒸発してしまいますので…
 そのあたりは会期中も微調整して作品展示をしておりました』
とは県美術館の学芸員さんのお話。

「すごい…」

いやぁ…すごい作品をしょっぱなから観てしまいましたよ。
とはいえ、驚きはここでは終わらず…

「私の大好きな藤森照信さんも円空賞いただいてたんですね!」

チケットにお名前が載っていたので…はい。期待しておりました。

藤森さんとは元々建築史がご専門の方で
私が時々お買い上げする建築系雑誌「カーサ・ブルータス」でも
よくお見かけする方なのですが…
「バウハウスより建築は進化していない」と思われた藤森さん、
今まで建築物を批評する側だったのをあえて批評される
「建築家」の方にまわり、さらには自分の中でいろいろなルールをつくり
最近では、自然にある石や土、植物などを使った
独創的な建築物を設計されることで注目されている方です。
そうかと思うと、まるで「VOW」のような切り口の
「街の中のおかしなもの」を探索する「路上観察学会」なる
活動もされており…写真などにおさめている藤森さん。
会場では、それをDVDにまとめたものが上映されておりました。
たとえば…
意味のない短すぎるガードレールとか(笑)
これには私をはじめ、他に鑑賞されていた大人の方々が
思わず吹き出し笑い。

「さすが藤森さん…」

代表作がパネル展示されていたのですが…
そこに添えてある藤森さんの一言がまた笑いを誘います。
最初の作品である神長官守矢資料館を建築し、
さらに自邸である「タンポポハウス」を建築した藤森さん。
(注:屋根に土があり、春にはタンポポが咲くというもの…笑)
自然の素材があふれた建築ばかりなので、とうとう知人の南伸坊さんに
「縄文人」と言われた…というくだりがあり、これには思わず失笑。
とはいえ、南伸坊さん、
この後今度は自分の家を藤森さんにお願いするのだから面白い。
で、できた邸宅は屋根にニラが植わった「ニラハウス」(爆笑)
屋根に白い花がふわふわとゆれている光景がまたなんとも言えず(笑)
あとは、太い幹の木を2本使って、地面よりはるかに離れた場所に
茶室を作った「高過亭」など

「本当にこの人、面白い」

いやはや楽しませていただきました。

さて、今回の円空大賞を受賞された李禹煥さん。
チケットやチラシにも作品が大々的に使われておりましたが…
その他の作品も、なんとも清々しいというか…
「心に爽やかな風が吹き抜けるよう」
それでいて床に置かれた石をメインにした作品には
「なんとも哲学的な趣き」
素敵な空間でした。

その他にも…浜他知明さんや横尾忠則さんが
円空賞を受賞されておりまたまたびっくり!

「なんというメンバーですか!今回の受賞者は!」

浜田知明さんは、以前に美術の教科書か何かで観て
非常に印象に残っていた「初年兵哀歌」の作品を観て
思い出しました。いや、本当にまさか生で見る事できるとは…
本当に驚きましたよ。

でもまあ、一番驚いたのは…横尾忠則さんですね。
まさか岐阜の下呂温泉にインスピレーションを得て
作品を制作されていたとは知らなかったですね。
私なんかだと、どうしても学生時代にグラフィック系の勉強していたので
横尾忠則=奇抜なデザインのポスター
というイメージが強いので…
ええ、もちろん、代表作のポスターも何点か観ることができ
「おぉーっ」とテンションあがっちゃいました(*´σー`)
あと、舞台美術のセットがいかにも横尾さんワールドで
ひとつ、ひとつ観て大爆笑。

「いやぁ…とても楽しめました」
結局悩んだあげくに図録をお買い上げ。
円空大賞展.jpg
(ちなみに左にうつっているのは今回のチラシ。
 李禹煥さんの作品が前面に打ち出してあり潔い、素敵なレイアウトです)
なぜ悩んだかというと…藤森さんの作品の掲載が
ページの兼ね合いもあってか、展示作品より圧倒的に少ないのです。

「だから図録の近くに平積みされていた
 TOTO出版から出されている藤森さんの作品集、買おうと思ったけど…」

うっかり樋口一葉さんが1名いなくなってしまいそうだったので…

「見送り(;´Д`)ノ(笑)」

藤森さんの本は明治時代の建築について執筆した本など
まだまだ欲しい本がたくさんあるので…
また吟味してお買い上げしようと思います。

今回の円空大賞を受賞した作家さんの代表作などが
こちらにもアップされていました。
興味のある方はよかったらのぞいてみてください。
http://www.pref.gifu.lg.jp/pref/s11151/enku2002/tai/index.html
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