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「活版印刷のワークショップに参加するため大阪遠征」 [作品制作のはなし]

はい、タイトルのままです。
繁忙期に追われてブログの方の更新が滞っておりました。
という訳でタイトルのお話は7月のお話。

昨年あたりのブログ記事をご覧になっている方には

「あ…もしかして…」と思い浮かんでくださる方も
いらっしゃるかもしれません。

昨年、初めて参加させてもらった
大阪の「なにわ活版研究所」さんでのワークショップ
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2012-08-07
(凸版、凹版、孔版、平版の体験と、手フートによるレインボー印刷体験)

http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09
(えんぴつに箔押しで名入れをしたり、紙にエンボス加工をしてみたり…)
※昨年は、ロンドンオリンピックの開会式が7月28日で
開会式見ながら支度したのでした。

その後、そこでの出会いがご縁で、
名古屋のNさんの所にある手フートを拝見&体験させてもらいました。
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2012-09-22


そんな、「なにわ活版研究所」さんでのワークショップ
今年は7月28日(日)に開催ということで…

「今年も参加してまいりました」

そうです…7月28日…

「なにわの日でございます」

実は今年は前日入りしておりまして…
昨年も訪れた
松尾貴史さんプロデュースのカレー店「般゜若(ぱんにゃ)」と
7月27日(土)から国立国際美術館で始まった企画展
「貴婦人と一角獣展」
そして昨年、入場整理券がないと入店できなかった
「TIGER COPENTGARDEN」にリベンジして
美味しいお好み焼きを食べるということを
全て実現するために…

「前日入り」

大阪で泊まりで遠征って…かなり久しぶりです。

で、7月28日(日)当日は…
午前中は、なんばにある「日本工芸館」に出かけ…
近くで昼食を取り、向かった先が「なにわ活版研究所」さんでございます。

昨年もお邪魔したので、大阪駅からのルートは
おぼろげに頭に浮かびつつ…

「踏切を越えて…ライオン株式会社のビルの前のライオンくんを見て…
 大きな学校の建物見えたら右に曲がって…公園と派出所見えたら…
 たしか左曲がって、また右に…」

ここまでの道のりが駅から徒歩15分ほど…

「あ、たぶんこの道…」

と、てくてく歩いて見えてきたのは

「大同印刷所」という看板が掲げられたビル。

昨年同様…「こんにちは…」と引き戸を開けると…そこには…

「手フート達、勢揃い」

テンションがあがります。

スタッフさんとお逢いして、ご挨拶。

今年のワークショップは、和紙と洋紙の手透き体験をはじめ、
昨年、私もチャレンジした
手フートによるレインボー印刷体験
えんぴつに箔押しで名入れや、紙へのエンボス加工
タイプライターの入力などが体験できるようになっています。

そんな中で…私といえば…

「樹脂板」を作ることに。

はい…今年のワークショップはですね…

「自分のオリジナルの版で手フート印刷やってみようと思ったのですよ」

スタッフの方に事前にご相談したところ
指定の期日までにデータ入稿していただければフィルムを作成します
とのことでしたので…

「イラストレーターで、版を作成してワークショップの数日前に、データ入稿」

01オリジナルフィルムs.jpg
という訳で…そのデータを元に、フィルムが完成しておりました。

02生樹脂版とフィルムs.jpg

「版になる所が透明になっているフィルム」
これを、樹脂板を作る素となる「生」の樹脂板に
フィルムを乗せて、紫外線を当てるのです。

すると…フィルムが透明になっている所には
フィルムを通過して「生」の樹脂板に紫外線が当たり、
固くなってくれるのです。

03樹脂版ができるまでs.jpg

つまり、こういうことなんですよね。
(機械の上に掲示してあった行程図を撮影)

「つまみをぐるりと回すタイマーのようなので、
 まるでお料理しているような感じです」

こうして紫外線を浴びた樹脂板からフィルムを外して今度は洗浄します。

水を張った四角いプチプールのようなところの底にはブラシがびっしりと並んでおり
ここに押しつけて回転させることで、紫外線を浴びなかった
樹脂板の部分はやわらかいままなので、水に溶けてなくなってしまうんです。

「ということは…結果、紫外線が当たった所が固くなり、版になるということ」

04樹脂版ができたs.jpg

はい、出来あがりがこちらです。

「おぉーっ!きれいな版ができました!」

この仕上がった版に両面タイプの粘着シートを貼り、
手フートに貼り込む準備ができたら、ひとまず版の準備は完成。

続いては…

「インクの用意をします」

インクも様々な色が用意されていましたので…
そこから色を選んで刷っても良かったのですが…

「ここはぜひ、混色にチャレンジしてみることに」

はい、複数の色を混ぜてみることにしました。

今回は残暑見舞い用のデザインを青系に
クリスマス用のデザインを赤系にしようというのは
だいたい決めていたのですが…

05PANTONEs.jpg

「詳しい色はこのPANTONE(パントン)の色見本で選んでいきます」

この色見本では、インクの割合が記載されているので
これを参考にして、インクを混ぜる訳ですね。

06様々なインキs.jpg

「インクも様々な種類があるので間違えないようにしなくては…」

そうなんです。色の系統によっても様々な種類があるので
割合を間違えないよう、混色する台の上にインクを取り出します。

07青系インキを混色s.jpg

「だいたい、ポストカードなどを手フートで印刷する際
 使うインクの量の目安は大人の親指の第一関節程度」

これを100として、割合が合うようにインクを取り出します。

淡い色に濃い色を少しずつ混ぜていく感じで…

08青系インキを混色2s.jpg

「色ムラが出ないよう、しっかり混ぜていきます」

色の調子を見る際には、裏紙などの不要な紙の白い部分に
ちょっと乗せて紙同士でこすり合わせて色の出方を見ていきます。

「さて、これで青色は大丈夫かな」

今回は、2種類の版を刷る予定ですが
まずは1種類目から…

13樹脂版を切るs.jpg

さきほど粘着シートを貼った樹脂板の版の部分のみを
ざっくりと(版の部分を切り込まないよう注意して)切っていきます。

そして、版に輪にした粘着テープを貼り、
そこに刷り位置の目安になるよう、
ポストカードを貼り合わせ、
手フートの印刷面との位置を合わせていきます。

そして版の粘着シートを覆っている紙をはがし
手フートを動かすと…

「版がぴったりと、手フートに、くっついてくれます」

おぉーっ!ぴったりと、くっついてくれましたよ。

さて、版の準備もできたので…
いよいよ印刷に…

09手フートに青系インキs.jpg

円形の盤面にインクを少し乗せて…

10手フートに青系インキ2s.jpg

ローラーでのばしていくと均一にのびていきます


さて、今回、私が持ち込んだ紙は…

「普段、手描きポストカードとして使っている
 画用紙タイプのポストカード用紙」

少々、表面がでこぼこしており、厚みのあるポストカード用紙。
しかし、これが苦戦の原因に…

「なかなか上手くインクが乗り切らない」

スタッフさんに見てもらったところ
やはり、でこぼこした表面なので、
もう少し印圧を高くしてみようとのこと。

左にあるレバーが下りる位置を調整するネジで
一番下まで下りるように設定してもらうことで
印圧が高くなるとのこと。

「ふむふむ…」

スタッフさんが、手フートの印圧を最大に調整してくれた上に、
圧盤部分に貼ってある紙(胴張り用紙)に
紙を差し込んでくださったりと、様々な調整をしてくださり、
ここまで綺麗に印刷できました。

青系完成s.jpg

「はい、カエルさんです」

という訳で…青系の印刷を終えて、
ここで終了という訳ではありません。

一度、手フートのインキが付いた円盤とローラーを
一度、不要な紙などに吸い取らせた後に、
洗浄液を含ませたウエス(ぼろ布)で綺麗にしていきます。
これができたら今度は赤系の色を混色していきます。
黄色を混ぜることで、あたたかみのある赤色を目指します。

11赤系インキを混色s.jpg

さきほどと同様、混色した赤系のインクです。

12手フートと赤系インキs.jpg

混色したインクを、再び、手フートに乗せて、印刷していきます。

赤系完成s.jpg

マッチ棒をモチーフにしたクリスマスツリーです。
はい。昨年の展示の際に制作したモチーフを線画にしてアレンジしたものです。
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2012-12-03
※これがデザインの元となった展示の案内DM

http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2013-02-03
※マッチ棒を使い、様々なデザインをした展示は昨年末でした。

細い線にもあたたかみが感じられる刷り上がりになりました。

さて、当日のワークショップは私も昨年、体験させていただいた
手フートのレインボー刷り、タイプライターのタイピング体験
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2012-08-07

そして箔押しや、鉛筆への名入れ
http://yukiwochannel.blog.so-net.ne.jp/2012-09-09

さらに、今年は紙すき(和紙・洋紙)の体験などもあり
印刷に関する様々なことを体験できる空間となっておりました。

14ぐるんぱ1s.jpg

そうそう、私が混色している間に、
ちょっと離れたところでは、
別の印刷の体験をされている方が…
今回のワークショップでは手透き和紙・洋紙の体験コーナーもあり、
そこで仕上げた手づくりの紙をのせて、
この機械でぐるん、ぐるんと回転させて印刷をしていらっしゃいました。

15ぐるんぱ2s.jpg

下面に、実は罫線を組み込んだ活版が配置されていて、
ぐるん、ぐるん、と回転して刷り上がると、
用紙に罫線が刷り上がり、お手紙仕様になるという訳なんですね。

時間があれば私も紙すき体験したかったな…
何より、バーコ印刷は体験したかった!

※注:バーコ印刷
盛り上げ印刷の加工方法のひとつで、
印刷した部分に透明な樹脂パウダーをふりかけて
熱にて樹脂を溶かし隆起を作る印刷のことです。

私も仕事柄、バーコ印刷は
秋冬などのボリュームのあるグリーティングカード等で
度々使う加工印刷なので、機会があれば自らの手で作って
みたかったです。これについては…また次回ですね。

さて、2種類のポストカードを刷り上げた私。
午後6時から始まった、たこ焼きパーティーに
1時間遅れで合流。

美味しいたこ焼きs.jpg

テーブルには、写真のとおりの
熱々の美味しい「たこ焼き」に加えて「焼きそば」が…
手フート印刷をやりきった私の胃が大変喜んだのは言うまでもありません。
そして、昨年お会いした方から、初めてお会いする方まで
本当に楽しくお話させていただきました。

デザインのお話からイギリス
パリ、オランダ、そしてミラノサローネのお話まで飛び出し、
ワールドワイドな話題に…
今回のワークショップに参加した方々と色々なお話もでき、
大変楽しいパーティーでした。

今回の大阪遠征も本当に楽しいものになりました。
「なにわ活版研究所」のスタッフの皆様、
そして当日、お話の輪に入れてくださった皆様、
本当にありがとうございました。
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